朝からゆううつ

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 橘めるるは友人に「迷惑だ」と言う代わりに冷蔵庫を開けた。なかからチョコボールの新しい箱を取り出す。  一人暮らしのめるるの部屋の冷蔵庫には、病的なまでにチョコボールの箱が並んでいる。きちんと並べられたチョコボールたちの半分は、セロファンをはがされ、中身が途中まで食べられているものであり、箱にはマジックで日付が書かれている。あとの半分はまだ未開封のものである。  めるるは取り出した未開封のほうのチョコボールを開けて、乱暴に何粒か取り出し、口のなかに放り込んだ。 「よし、がんばろう。がんばりましょう!」  めるるは自分の頬を叩き、朝食の準備を始める。  全粒粉の食パンの周り一周にマヨネーズを掛け、生卵を真ん中に落としてトースターで焼き、その間に鶏肉とトマトとニンジンと豆のスープを作る。  朝ごはんに時間は掛けられないけど、しっかり食べないとスタミナが持たない。  朝のニュースをざっと観ながらごはんを食べて、身支度する。
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