壱 かむくらの社

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長い言葉の最後は、空気を整えるような二拍手で終わった。 深々と頭を下げた禄輪さんに習って、慌てて自分も深々と頭を下げる。 「よし、じゃあ、何から話そうか」 禄輪さんがそう言って振り返る。 「禄輪、居間に茶を用意しています」 「ああ、ありがとう。じゃあ、そっちで話そうか。巫寿、おいで」 呼ばれるままに着いていくと、先程食事をした部屋に戻ってきた。 対面に座った禄輪さんは、美味しそうに湯のみの茶を啜る。 「色んな説明を後回しにしてしまってすまない。昨日から怖いことの連続で、気持ちが休まらなかったろ」 「昨日のは一体……」 「そうだな。あれの説明をする前に、私や巫寿の両親のことを話そうか」 お父さんとお母さん? この人は、お父さんとお母さんのことを知っているのだろうか? 「私と巫寿の両親、一恍(いっこう)泉寿(せんじゅ)は同じ学校の卒業生だ。一恍とは同期生で、泉寿は二学年違いだ。卒業してからも私たちは同じ仕事に付いたから、交流は続いていた。だから、祝寿(いこと)や巫寿が生まれた時のことも知っているし、よく遊び相手もしていたんだよ」
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