デート?  

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  デート?  

 待ちに待った週末がやってきた。いつもより早起きをしたトアは、ストレッチをして少し体を動かした後、ゆっくりと湯舟に浸かった。  自分で髪の毛をセットし、化粧を始める。白海の民は多くの者が色白だ。そのためか昔から、特に女性は濃い化粧をする傾向がある。トアも化粧を初めてもう久しい。毎朝慣れた手つきで自分に似合う色を乗せる。彼女のロイヤルブルーの瞳にはブルー系のアイシャドウがよく似合うのでお気に入りだ。今日はそれに加えて、繊細なラメが入ったピンクを目尻に加えた。 「トア様。おはようございます。ご支度に…」  部屋へ入ってきたエリーシャはトアの姿を見て言葉を止めた。もう全て準備は整っているようだ。  いつもこうだ。支度を手伝おうにも、全て自分一人で完結してしまう。  ドレスを好まず、動きやすい服装をすることが多いトアは、パンツスタイルが基本だった。  トアは母親に似て美人である。彼女付きの召使いとしては、是非とも普段からきれいなドレスで着飾ってもらいたい。しかしエリーシャの願いが叶うのはたまに開かれるパーティでだけだった。それもパンツドレスを着用するため、クラシックなスカートドレス姿のトアはもう随分見ていない。  しかしエリーシャは諦めたわけではない。  来週、大きなチャンスがやってくる。白海の勤労感謝祭だ。  これまでトアは任意参加のため何かと理由をつけて不参加にすることが多かったが、今年の参加は必須のはず。  その日のために何か月も前から、腕のよい仕立て屋に最高級のドレスを依頼し、素晴らしいドレスが出来上がったばかりだ。  今後はこうした正式な場へ参加する機会も増えるはずだ。今回を皮切りに、トアも少しずつドレスに馴染んでくれればいい。  しかしまずは、今日のこの格好からなんとかしてもらわなければならない。
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