1.プロローグ

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 「よーし、席につけー」  担任の教師が入ってきた。生徒たちはおしゃべりをやめ、一斉に席につく。  「最近市内で通り魔が出てる話はみんな知ってるなー。学校周辺も警戒区域だから、警察官が巡回してくる。何か聞かれたら協力するように。そんで、暗くなる前にちゃんと帰れよー」  学校終わりに、天登(あまと)はバイト先のハンバーガー店へ行く。近くで高校生を雇っているのはここだけだ。  天登(あまと)の家は母子家庭なうえ、母が病弱なため、天登(あまと)は少しでも稼がねばならないと考えていた。天登(あまと)の学校は県一番の進学校で、バイトしてる生徒はごく一部だ。  「じゃあ先に上がらせてもらいまーす」  20時になったので、天登(あまと)は店長に声をかけた。  「おぉ、天登(あまと)君、ちょっと待って、はい、これ」  店長が名物の特製野菜バーガーを3つ包んでくれた。  「お母さん、こういうの食べられないかな?」  店長はよくこうやって、天登(あまと)にお土産を持たせてくれる。  「いえ、喜ぶと思います!ありがとうございます!」  店を出て家路を急ぎながら天登(あまと)は考えた。
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