1.プロローグ

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 自分の周りは優しい人だらけだ。  物心ついた時から父はいないが、母と2人で、なんとかやってこられた。  これからもやっていける。  天登(あまと)は、自分は幸せだと感じた。  「ただいま!」  玄関というにはあまりに小さい土間区切りには、きれいに揃えられたピンクのスニーカーがある。  「おかえりー!」  あかりだ。  「あかり、来てたのか!」  「あかりちゃん、掃除してくれて、夕ご飯も作ってくれたのよ。いつもありがとう、あかりちゃん。本当に助かります」  「何言ってんのおばさん、もう17年越しの付き合いだよ、水臭い水臭い」  「あかり、家は大丈夫なのか?もう遅いよ」  「大丈夫、天登(あまと)の家に行ってるってちゃんと言ってるから。うちのお父さんもお母さんも、天登をすっごく気に入ってるもん。大丈夫大丈夫!」  「ご両親にも、くれぐれもお礼言っておいてねあかりちゃん」  「はいはーい!おばさん気兼ねしなくて大丈夫!わたしの目的には、天登(あまと)に勉強を教えてもらうことも入ってるんだから」  あかりの底抜けの明るさは、暗くなりがちな母子の暮らしにとって、太陽のようだ。
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