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自分の周りは優しい人だらけだ。
物心ついた時から父はいないが、母と2人で、なんとかやってこられた。
これからもやっていける。
天登は、自分は幸せだと感じた。
「ただいま!」
玄関というにはあまりに小さい土間区切りには、きれいに揃えられたピンクのスニーカーがある。
「おかえりー!」
あかりだ。
「あかり、来てたのか!」
「あかりちゃん、掃除してくれて、夕ご飯も作ってくれたのよ。いつもありがとう、あかりちゃん。本当に助かります」
「何言ってんのおばさん、もう17年越しの付き合いだよ、水臭い水臭い」
「あかり、家は大丈夫なのか?もう遅いよ」
「大丈夫、天登の家に行ってるってちゃんと言ってるから。うちのお父さんもお母さんも、天登をすっごく気に入ってるもん。大丈夫大丈夫!」
「ご両親にも、くれぐれもお礼言っておいてねあかりちゃん」
「はいはーい!おばさん気兼ねしなくて大丈夫!わたしの目的には、天登に勉強を教えてもらうことも入ってるんだから」
あかりの底抜けの明るさは、暗くなりがちな母子の暮らしにとって、太陽のようだ。
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