「外科医になりたい」

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「外科医になりたい」

「外科医になりたい」 友人は言った。 将来の話をしたときだった。 自分は、正直に言って、自分のやりたいことが分からなかった。何がやりたいのか、何をやるべきなのか。 ーーそのために今何ができるのか。 だから、聞きたかった。 あなたはどう思ってるの?って。 それは、とても軽い気持ちだった。 ただ、この子は何になりたいのかな、って。 自分はこんなだけど、なにか考えてあることがあれば聞いてみたいなって、それくらいの気持ち。 だから、自分が思っていたよりもはっきりした答えが帰ってきて、単純にすごいなと思った。それと同時に、この子ならできるな、と確信した。 こう言うと、とても上から目線だけども、その子は決してではなかった。 でも、紛れもなくで。 それで結果を出したこともあって、自分にはないものを持ってる、自分の尊敬してる人。 自分にとってその子はだ。 何ができる、とかじゃなくて、自分の気持ちを揺れ動かす力を持っている。 その子の前だと自分は素直になれた。 言いたいことが言えた。 伝えたいことが言えた。 そんな、自分に強い影響を与えてくれる人だったから。 ーー真っ直ぐに強く生きられる人だと知っていたから。 ぴったりだ、とそう思ったんだ。
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