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まるで何かをまたぐように
人間というものは、例えてみるなら円の中に生きているものだと思う。
自分の世界っていう円があって、それには線が引かれてて、中心に自分がいる。
その線ははっきりしたものではないかもしれない。けれど、確かに境界線というものは存在していて。
自分の円の外から何かを引っ張ってきたり、誰かが何かを持ってきてくれたり。
逆に、自分が何かを円の外へ送りだしたり、他の人の円に置いていったり。
そうやって、自分の円を広げていって。
ときには他人の円と重なったり、他人の円を避けたりすることもあるかもしれない。
どんどん形を変えていって、自分を創っていく。
そんなようなものだったとしたら。
自分はきっと円の中でしか生きられない人間だ。
だって、自分のために生きようとしてるから。
ーーでも、その友人は違った。
全然違う場所の、
遠いようで近い、自分が見て見ぬ振りをしてしまうような、そんな場所に。
簡単にその線を越えて。
自分にはできないことを、こんなに簡単にも。
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