はじめまして

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 次の日から静かな生活は一変し、賑やかな毎日が始まった。  赤ちゃんは泣いた。お母さんが家事をしてようが、電話に出てようがお構い無し。精一杯、力の限りに泣いた。  お母さんが駆けつけ、お乳をあげたり、オムツを変えてあげるとすぐに泣き止み、すやすやと眠った。  起きてる時は手を上げてみたり、足をバタバタしてみたり、遠くをぼんやり眺めてみたり…何かと忙しそうだった。  その傍らで、お母さんとおばあちゃんは押し入れに入れてあった荷物を、せっせと段ボールに箱詰めしていた。    何だろう?何か始まるのかな?  2人の会話に耳を澄ましていると、どうやら僕たちは引っ越しをするらしい。  おばあちゃんの家、つまり奥さんの実家にみんなで移り、これから共同生活をするらしい。  そんなことを聞きながら、僕は2人の忙しく働く姿と、バタつく赤ちゃんを見ていた。  この時ばかりは、慌ただしく時が流れた。
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