白い時計

はじめまして

　部屋は日に日に片付いていった。

　日頃は仕事でいない主も、帰宅後や休日は片付けに精を出し、家族のために動いていた。

　時には赤ちゃんのオムツを変えることもあり、慣れない手つきで奥さんの指導を受けながら、日々奮闘していた。

　それが終わると満面の笑みで息子を見ては、喜んでいた。

　頑張って。新米お父さん、お母さん。

　おばあちゃんは子供をあやしながら、せっせと片付けをし、時には晩御飯を作り、部屋の掃除をしていた。

　その動きには無駄がなく、やるべきことを卒なく次々と片付けていた。さすがに、ベテランは違う。

　数日後には大方の荷物が片付き、いよいよ引っ越し前日を迎えた。

　その日の夜、僕は慣れ親しんだ壁から外された。