さようなら

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さようなら

 お兄ちゃんが年長さんになり、弟くんは年少になった。以前のように騒がしい毎日だけど、2人とも自分でご飯を食べるし、ほぼ1人で着替えられるようになっていた。  少しずつだけど、確実に成長を感じていた時、近くで工事の音が聞こえ始めた。  ここから2軒先の空き地が売りに出ていたらしく、お父さんとお母さんはそこを購入したらしい。そして今日から基礎工事が始まったようだ。  実家から2軒先で、生活環境は変わることなく、今度は4人暮らしになる。僕は新しい生活に胸を膨らませた。  おばあちゃんは実家に残るから一緒に住めなくなるけど、2軒先だったらいつでも会いに来れる。  またお父さんやお母さん、お兄ちゃんと弟くんと一緒に暮らせる。僕にはこの上ない喜びだ。  僕はうきうきしながら、いつものように秒針を正確に進めていた。
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