よろしくお願いします

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 僕は正確に時を刻みながら、2人の生活を見守った。  2人でおいしそうに食べる夕食を見て、リビングのソファーで穏やかにくつろぐ2人を見るのは、新鮮で楽しかった。  僕が夜の11時を指すころ、部屋の電気が消され、2人は寝室へと入って行った。その間も、僕は休むことなく時を刻んだ。  おやすみなさい。明日もよろしくね。  静かになったアパートの一室で、黙々と時を刻んだ。1秒1秒、秒針の動く音だけが部屋の中にこだました。  朝6時頃、女性が早く起きて、朝食を作り始めた。朝ご飯はご飯と味噌汁、目玉焼きとサラダ。6時半頃に男性がリビングに現れ、食卓につき、テレビを眺めていた。  おはよう。今日もいい朝だよ。  僕は静かに、でも確実に進む時間を2人に伝えながら、何気ない日常の幸せを見守った。  僕はこの上なく、幸せだった。
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