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来る日も来る日も、僕は正確に時を刻み続けた。
2人は寄り添い、時にはケンカもしながら、毎日の生活を営んでいた。
クリスマスにはケーキを食べて、お正月にはお雑煮を食べた。
男性が落ち込んだ日は、妻である女性が肩を擦って励ました。
妻が体調を崩した日は、男性が馴れない手つきで料理を頑張った。
時間に追われて、僕を焦って見る時もあれば、休日なんかはぼんやりと僕を眺める日もあった。
僕がこの家に来て2年が経つ頃、女性は実家に帰省する準備を始めた。どうやらお腹に赤ちゃんがいるようだ。
しばらくは男性の1人暮らしになる。僕は少し心配になった。
僕の主である男性は毎日くたびれて帰って来て、料理は全て妻に任せていたから。本当に料理や掃除がきちんとできるのかな?
女性が実家に帰った日、男性は夜遅くにアパートへ戻って来た。もう10時を過ぎている。
男性はシャワーを浴びると、ソファーに横になり、テレビも電気もつけたまま眠ってしまった。
初日から、いきなり乱れた生活とは…僕の心配は余計に膨らんだ。
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