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しばらくの一人暮らしを、男性は楽しんでいた。普段は食べないお菓子を食べたり、夜遅くまでぐずぐずと携帯をいじったり。
でもやることは、意外ときちんとしていた。朝食はパンが増えたが、休みの日は窓を開けて掃除機をかけ、洗濯も小まめにしていた。
そして週末には、必ずどこかへ出かけた。きっと妻の実家に通っているのだろう。その時は、この部屋に誰もいなくなる。
誰もいなくななった部屋は、がらんとしている。いつかここに小さな赤ちゃんが来るのかな。僕はそんなことを想像してワクワクした。
2日後の夕方、男性がアパートに戻って来た。部屋の電気をつけ、妻が預けてくれた食材は冷蔵庫にせっせと入れている。
ご苦労さま。お帰りなさい。今日はちゃんとベッドで寝てくださいね。
僕は男性に語りかけながら、ゆっくりと時間を刻んだ。
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