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そんな中、変わらないのは、まっすぐとエルミラを見つめてくる眼差し。
森の湖の色をした、深く蒼い瞳――。
今もそれは、ためらうことなくエルミラを見ている。朝の気配にいちはやく気づいて「外に出ましょう」と言ったエルミラに戸惑いながらも、何か理由があるのだろうと空気で察したようだ。
小屋の外には、エルミラがこよなく愛する湖がある。
だが、「それを見に行きたい」という意味でエルミラが誘っているのではないことに、彼はおそらく気づいている。
だからこそ、彼は何も言わない。
だからこそ今、こんなに真剣な目をエルミラからそらさない。
眼差しが熱かった。受けとめきれず、エルミラは目をそらした。
彼のそばには、彼の親友とも右腕とも呼ぶべきもうひとりの青年が立っている。親友と言っても、立場上は従僕だから、〝主人〟の斜め後ろの立ち位置を保っている。
そんなふたりの微妙な距離感を、エルミラは不思議な気持ちで見る。
こちらの青年もエルミラの幼なじみだ。ふたりが一緒にいるところは昔から散々見てきた。だがふたりの間にある絆の形が、エルミラの知っているものと少し変わったように感じる。
それは、ふたりが変わったということなのだろうか。
それとも――変わったのはエルミラのほうなのだろうか。
朝日がしらしらと清い光を地上に投げかける。
森の樹冠がやんわりとその光を遮り、いくつもの光の筋を落とし始める。
ただ、この湖周辺では木漏れ日は生まれなかった。湖の上はぽっかりと空間が開き、空が見えている。ジルヴェール国が誇る美しい朝の光が、何に邪魔されることなく湖の上へ降り注ぐ。湖面で反射した光がきらきらと幻想的な輝きを放つ。
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