11.俺と彼女と青春と

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 予想していた反応とは少し違っていたので、秋山が言葉を詰まらせると、   「あたしだって成長するんですよ」    そう言って、にぃっと砂原は笑った。  一瞬それに見惚れた秋山は、ならば好都合、と立ち止まる。  小首を傾げながら砂原もそれに倣い秋山と向かい合う。 「どうしたんですか?」 「実は俺もラブレターを書いてみたくなって、試しに書いてみたんだけど」  そう言って、秋山は鞄に手を入れた。  紗良はなんともいえない表情で目を瞬く。  秋山は鞄の中から出した空の手を紗良に見せた。 「からかってるんですか」  さすがに険呑な色を目に浮かべた紗良に、「いや書いたのは本当」と慌てて言い募る。 「書いたけど、なんかしっくり来なかったんだ」  だから。  秋山の言葉に懸命に耳を傾けている紗良の手を取った。  ゆっくりと体を引き寄せ、頬に指を添えると、紗良はひとつ瞬きをした。 「大人には大人の伝え方をしたいなと」  逃げる隙は十分に与えたつもりだ。  言い訳を乗せた唇で秋山は彼女の唇をそっと奪った。    fin.
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