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残念な天使の命題
ある、暖かな秋の日。
小春日和のポカポカした柔らかい日差しが、枯れかかった芝生を照らしている。
校庭の外側の南向きの斜面は、格好のサボり場所だった。
春や夏の、湿り気を帯びた草いきれとはまた違う、乾いた草の匂いが、風に乗って鼻腔に届く。
こんな日に、教室に籠って、つまらない講義を聞いてるなんてバカらしい。
そんなわけで、自主休講。
そもそもこの学校に来たことが間違いだった。
体調崩して、受験に失敗して、滑り止めの滑り止めに入学するはめに。
周りは皆、バカばっか。
高校浪人なんてみっともないから行ってくれっていう、親の懇願がなければ、こんなとこ、来るもんか。
バカばっかり……。
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