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親が子供を思って飾る雛人形。一般的には飾らないと子供に何かよくないことが起こると思われている。だかしかし、九条家では違っていた。なぜか遙加に何かが起きるのではなく母に異変が起きるのだ。
これまでは飾らなくてもいつも雛人形のことを気にしていたのでそれは起こらなかった。しかし今年の母は忙しさと加齢のためか、すっかりと雛人形のことを忘れていた。すると何かを知らせるかのようにコメディー映画のようにバッタンと倒れてしまう事態に陥ってしまったのだった。
今年は怪我だったが、5年ほど前はインフルエンザにかかっていた。仕事が忙しすぎるせいだと思っていたがどうやら原因は他にあったようだ。
九条家ではあまりにも遙加の霊感や彼女を守る力が強すぎるために、弾かれた災厄は母が身代わりとなって受け止めている。それは父よりも母の方が九条の血を濃く受け継いでいたからだった。
父は姓こそ九条だがかなりの遠縁で本家との繋がりは薄い。しかし母の母、遙加の祖母が九条本家の血を受け継いでいるので遙加の霊媒体質はその系統からだったのだ。遙加の母は勘は鋭いが霊能力はない。祖母の持つその能力は隔世遺伝で遙加へと受け継がれたのだった。
4月の最初の日曜日。新学期も始まろうとする頃九条家の雛人形はやっと今年の仕事を終えた。
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