気遣う電話

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 それから2週間後。またしても夜食を取った後眠気に勝てなかった遙加はまたポカポカと温かい床の上で寝てしまった。今日は枕がわりのクッションと近くにあった携帯用のフリースケットを掛けて寝ていた。 しばらくの間気持ちよく寝ていた遙加はまたあの音に起こされた。 「ジー、ジー、ジー、…………」 やはり電話機からその音がしていた。この前と同じように近づくと音は止まってしまった。時計を確認すると時間はやはり午前4時。 遙加の頭の中に急にこんな考えが浮かんだ。 『もしかしたら、床暖房が効いているからって床の上で寝ると疲れが取れないから起こしてくれたんじゃないかな。電話機が気を使って!』 楽天的な遙加は気遣いのある電話に感謝して自分の寝室へと向かった。 その後、2度あることは3度あるというからまた起きるのかと思っていた遙だったが、それ以降電話機が気を使ってくれることはなかった。それを残念に思うところが普通の人の感覚と少しずれている証拠だろう。 それでも遙加は相変わらずポカポカの床の上で寝るのをやめられなかった。その後電話が教えてくれなくなったのは仏の顔も3度までというように逆に電話機にまで呆れられてしまって教えてくれなくなったのかもしれない。 しかしそれは、その電話機しか知らないことである。 と言う事にしておく。
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