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「はい、ぜひお願いします」
「そ、そうですか。実はもうすぐ迎えに来る頃だと思いますので、待ち合わせ場所まで行きたいのですが、大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫です」
するとどこかで見ていたかのようなタイミングで何故か食堂の入り口から長身長髪でやけに美しい男性がこちらに向かって歩いてきた。
「遙加、迎えに来たよ。隣にいるのは誰かな?」
「薫、早かったね。田中さんって薫の知り合いではないの?」
九条薫は改めて隣にいる男の顔を見た。すると田中は申し訳なさそうに話し出した。
「九条さんお久し振りです。どうしても彼女にやって欲しいことがあって押しかけてしまいました」
「あー、誰かと思ったらシャーマンの田中聖修君か。元気だったかい」
「はい、元気だけが取り柄ですので。実は遙加さんに私の仕事場に来ていただきたかったのですが九条さんのところでないとダメだと言われまして。お邪魔してもよろしいでしょうか」
「それは周りにあまり人がいない方がいいのかな」
「そうですね、できれば私と九条さんだけの方がいいかと思います」
「そう……だったら……ディメンションの方でいいかな」
「突然来たのに、ありがとうございます」
田中は満面の笑みを浮かべて九条に頭を下げた。
「じゃあ、移動しようか。遙加帰るから食器を戻しておいで」
「はい、ちょっと待っててね」
この学内食堂がセルフサービスになっていることを何故か九条は知っていた。
突然始まった2人の会話について行けない遙加を置き去りに、そんなやり取りの後3人は九条の車でディメンションへと向かった。
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