3/3
前へ
/146ページ
次へ
 進学校であるこの学校で練習場所を確保するためにバイトをしているのは軽音楽部ぐらいである。特に禁止されているわけではないので、学校側も注意はしない。というよりしたくてもできないのだ。なぜか軽音楽部は成績優秀者が多いからそれらしい理由をつけられないのだ。 学内の他の多くの学生は大学受験に向かって陰では必死に勉強している。だから普通はアルバイトどころではないはずなのだ。しかし音楽に魅入られた軽音楽部の部員達は生音を直接身体で感じる快感を忘れられなくてそれを求めてバイトをするのだった。  軽音楽部の部長、如月京香は頭脳明晰でマネージメント力に優れた才女だった。 軽音楽部は規律や規則などほとんどなく基本とても緩い部活で有名なのだが1つ、いや約束事があった。 『バイトを理由に成績が下がったものは部活への参加を認めない』 『人様に迷惑をかけないこと』 成績が下がっても退部させるわけではなく、次の試験で挽回すれば良いのであるが成績を下げた者はいない。 人様に迷惑をかけないというのは表向きの言葉であって、実際は 『学校に目をつけられる行動は慎むこと』 と訳される。 そんな才女と呼ばれる彼女には少しだけ人と違う力を持っていた。 霊が見える、という力を。
/146ページ

最初のコメントを投稿しよう!

47人が本棚に入れています
本棚に追加