◇01. 推し作家がいるわたしの幸せ。【本編】

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 ともあれ、わたしは大根をかごにぶっこみ、それから、もも肉がグラム68円なのを確認してかごに入れた。お安いスーパーって本当にありがたいよね。わたしたちの生活を潤してくれる……。  ああ、みかんが298円……いつもは398円なのにどうして……欲しい……食べたいあのあまいみかん……美味しそう。  えいやっ、と踏ん切りをつけてかごに放り込んだ。かごの中で揺れるみかんはぴっかぴかのオレンジ色で輝いて見えた。  * * *  そしてだ。帰宅後真っ先にすること。手を洗うこと。確かに。スーパーの買い物袋の中身を整理すること。それも確かに。お料理? いや、それよりも先に……。  読み返す。帰りの電車のなかで読んだけれどそれだけじゃ足りない。もっと欲しい。というわけで、たゆたう文章のリズムに身を任す。……ところがだ。 『変態課長』 『気持ち悪』 『こんな小説読んで楽しむ連中の気が知れない』  あーあ、とわたしは声に出す。……最近、アンチがここに書き込みして騒いでんだよねえ。まじ、……迷惑……。
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