第四話:ホダカとアツモリ

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 不思議なもので、こうなってくると腹が減ってくるもんだな。  俺は、全身のガーゼやらをひっぺがしてから、一階に行き、軟膏類でべたついた身体を洗うためにシャワーを浴びて、さっぱりした後で、歯磨きをしつつ冷蔵庫を開けて、まずは足元にやってきた白猫のブランシェにミルクをあげた。 それから、レンジで温めるタイプの白ご飯と、冷凍のソーセージを用意して温めた。 さらに、サバの缶詰とミルクと、ポテトチップスとウォルナッツの袋をトレイに乗せて、二階の部屋へと運んだ。  そんな俺を見て、すっかり目を覚ましていたヒガシノは、言葉もなく俺を見ていた。  こいつ、びっくりするほどに寡黙だな……。 確かこいつ、ランブルフィッシュと言うグループのボーカルだったと思ったが……。  芸事に関わってる奴は、芸事以外では寡黙な人間も多いのは確かだろうが、こいつもそういうタイプなのだろうか。  だが、こいつからは敵意などは微塵も感じない。  俺を看病してくれてたんだよな。まぁ、半分の半分は大目に赦してやるか。
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