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俺は、俺の容姿がそんなに良いものとは思わない。
どれだけ食ってもさほど筋肉質にならないのは、身長の方に栄養が持っていかれているからなのだろうな。この切れ長の両目と、髪の毛はごわごわで何をしてもツンツンになる。
『忘れさせ屋』のように、さらさらした髪の毛だったらよかったんだがな。
だが、こんな俺の容姿をアツモリは好きだと言ってくれる。いつでも悪い方向に流れそうな、こんな俺を導いてくれる。
俺は、そんなアツモリを愛している。
あの長い黒髪。気品のよい目鼻立ちが、白い肌の小さな顔に端整に収まっている。その顔で笑いかけられると、俺は何でも出来そうな気がする。
「アツモリ、待ってろ。」
そう一人呟いて、壁に立て掛けてあったチタン性のトンファーを手に持った。
そうしてから、ヒガシノの肩をぽんと叩いて、
「頼むぞ。」
そう言って部屋を後にした。
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