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そうして、玄関を出て、タクシーを捕まえるために深夜の東小金井の駅方面へと向かっていたときの事だった。
脇道の暗がりから、焦げた靴の匂いがする……。
……あいつか。
「シゲモリホダカ」
俺に向かってそう言ったのは、サクママサトだった。
家では今風の普段着のくせに、今は旧日本軍の兵士の衣服を身に纏っている。
「サクマ。
なんだ?また敵対する気か?」
そう言うと、フッと鼻で笑ってから、
「勘違いするな。
俺はこれでも、お前たちには感謝している。
俺だけではなく、俺の仲間達も助けてくれたからな。
改めて礼を言うぜ」
そうならそうと、鼻で笑ってから言ってんじゃねえよ。ムカつくぜ。
俺はサクマを無視して先を進もうとしたのだが……。
「お陰で、あいつらの呪いは解けた。
俺の事で、仲間が道連れになるのは違うからな。
俺にも、あいつらには浅からぬ因縁があるんだ」
それも無視していたのだが……。
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