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そうこうしていると、私の家のドアベルが鳴った。
もう来てくれたんだ!
私はセミロングの少しだけ茶色い髪の毛をシュシュでまとめて、そして玄関を開けた。
「おはよう。」
なんだか気だるそうにそう言ってから、声色を変えて、
「あ、ミナコかあさん!
おはようございます。」
と玄関の奥の方に声をかけたのは、
薫森 穂高くんだ。
私よりも、私のママを大切にしてくれているんだよね。
細身で高い身長。切れ長の瞳でいつもツンツンした硬そうな髪の毛を、空に向けて立てている。
続いて、
「マイちゃんおはよ。」
と、どこか言葉にしなやかさを持たせて言ったのは、私と同じくらいの身長で、狩衣に烏帽子を身につけて、それからスニーカーのかわりに朝沓を履いている。
平敦盛くんだ。
私と身長はあんまり変わらない。
中性美と言うのは、アツモリくんのためにある言葉なんだろうなって思うくらの美男子だ。
「あ、おはよ。アツモリくん。」
そう言うと、口許を少しだけ緩めて、優雅に笑って見せる辺りは、さすがは平安貴族が転生した人物だ。
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