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「なんやと?
お前に言われたないわっ!」
そう言ってびゃくやんは、ホダカくんに対してやや戦闘モードの声を出していたけど……。
って、 びゃくやんはカミノ高校指定のブレザーを着ている。
この前まで詰襟の制服をかたくなに着ていたのにね。
ほんと、このふたりは仲が良いんだか悪いんだか。
「ふたりとも!
ケンカナシだよ!」
そう言うと、少し眉を動かしたホダカくんと、なんだか照れくさくなった感じで、右頬を人差し指でポリポリと掻いたびゃくやんだった。
「ほないこか~。」
そのびゃくやんの言葉に続いて、
「うん!行こ~。」
「ミナコ母さん!行ってきます!」
「ママ!行ってきます!」
と言った私たちだった。
朝日にもどこか初夏の気配を感じさせる湿気をはらんだ風を受けている。
玄関を出で空を見上げると、住宅街の合間から見える厚めの白い雲と、突き抜けるようなコバルトブルーの空が広がっていた。
こうしていつものように、私たち東京ゆびさきQuartetteは、通っているいつもの高校へと向かった。
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