雪の別荘殺人事件

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 こうして僕は山下と一緒に本郷青児なる人物に会いに行くことになった。  列車で何時間か揺られ、E町に着いてからはタクシーで目的地へ向かった。  今はもう降ってはいないが、前日の夕方までけっこう雪が降っていたようで、別荘に着く頃には辺り一面綺麗に雪が積もっていた。  何軒か別荘らしき建物はあったが、中でも一番古く、いつ壊れても不思議ではなさそうなものが本郷邸だった。 「なんだかもっと豪華な建物を想像してたけど…あんまり入りたくはないなあ」  古ぼけた表札の下に、これまた壊れたような呼び出しのボタンがついていた。  躊躇する僕に、山下は顎でそのボタンを押すように指示をする。  しかたなく僕はボタンを押してみたが、なんの音もしなかった。  強い風が吹いて木の扉がガタガタと揺れる。 「なあ、何も言わずに突然来たんだぜ、いないんだよ。出直さないか?」    そう言う僕を押し退けるようにして、山下は扉を開けた。鍵もかかっておらず、あっさりと扉が開いた。  短い石畳があり、その先に建物本体に入る玄関があった。  そこには張り紙がしてあった。 『どうぞお入りください』  山下はまた僕の方を見た。  しかたがない。    今度は僕が思い切って開けてみた。
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