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満月の夜は誰も出歩かない。町から灯りはすべて消え、月灯りだけが幻想的に照らしだす。日中はバザーが開かれ旅人も立ち寄る賑やかさなのだが、その日中の風景がまるで幻だったかのように。 その町から少し離れた先に、月に一番近い丘がある。しかし現の人間は恐れて誰も近づかない。何故なら――“終焉”があるから。 黒服に身を包んだ少年の視線の先には、純白の少女が立っていた。少女の方は微かに震えているのに対し、少年は冷静。そして、再度同じ事を問う。 「どうしてオレを追う、もうここへは来るなと忠告したはずだ」 「それは……」 「生者と死者は違う。永遠に交わり合わない」 「わ、わかってます……。でもしかたないじゃないですか。そうしなければ叶わないから……!」 少女は強く叫んだ。思いのほか大きな声に少年は驚いたものの、表情は変わらない。
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