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始まり
大事な人の大事なモノは大事?それとも
大事な人が大事にしていることが大事?
1
「悠(ハルカ)~」
「なに?」
「いつもの~」
そう言って香(カオル)は後ろを向きながら自分のブラジャーのホックを留めるよう俺に要求する。
「ちょ…香!!俺男だぞ!早く服着ろよ!」
俺は耳を真っ赤にさせて抗議するが香は聞き入れようとしない。
「良いじゃない双子なんだし。だいたい悠の何処に男臭さを感じるのよ。」
「…!!」
悠は妹の台詞に静かな溜め息をつく。いくらなんでも、これが双子の兄に向かって言う言葉とは到底思えない。果たして嫁に貰ってくれる男など見つかるのだろうか…
と、そこまで考え、自身の愚かさに舌打ちしたくなる。香が例え口が悪かろうと恥じらいが薄かろうと1年後には会ったこともない男の元へ嫁ぐのだ。
白桜旅館とこの町の繁栄と引き換えに
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