協奏曲は始まらない

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「それいつの話?ってくらいとっくの前に別れてる」 「じゃあ橋下ミカ?青山カレン?色んな人と噂になってるから今誰と付き合ってるかなんてその意味で検討つかないわ」 私がそう言うと奏太はムッとした表情になり、肘をつきながらそっぽを向く。 「一番好きな子に七年前に振られて絶望してね。差し込んだ光が消えてヤケになって、そりゃ色んな子と付き合ったよ」 奏太が怒ったかのような口調で言ってきた。 「公園で話さない?」 奏太に言われて頷く。カフェから十分程歩き公園に場所を移した。 ベンチに二人腰掛け、夜空の下でビルのネオンを眺めた。 「本当に夢みたいなんだ」 瞳に熱を宿して奏太は私を見つめる。 「ずっと忘れたくても忘れられなかった。また会えると思わなくて」 奏太の瞳に薄い水の膜が張っているように見えた。 「高橋…いや恵。僕と付き合ってください」
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