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続、鬼の戯言
◆ ◆ ◆ ◆
これは『すこし不思議な物語』だと、マヤは思うことにしている。
「うちの仏壇は、黄泉比良坂と通じているんですよ」
神木家以外のだれに話して聞かせたところで、そんな不可思議な話しを信じる者はいない。
それならと、
「信じられないかもしれませんが、うちの仏壇からは本当に鬼や天狗、ときどき狐や猫もやってくるんです。そうです、そうです……鬼に天狗です。一応、御役所勤めの職員なんですがね」
そこまで話してしまうのは、けっこうな冒険だ。
田舎なので、狐や猫についてはギリギリセーフかもしれない。その正体は、妖狐と化猫だけれども。
しかし、言葉のカモフラージュがききそうにない鬼と天狗はダメだ。
「あそこの仏具店の店主、どうやら憑かれたな。徳の高いお坊さんに来てもらった方がいいんじゃないか。阿闍梨様とか?」
「こんな中途半端な田舎にいるわけねえ。いるなら都会か、とんでもねえ山奥の寺だ。それよりも、本格的におかしくなるまえに、連れていってもらった方がいいだろう。そのほうが店主にとっても幸せだろう」
そんなことを云われかねない。
つまり、しかるべきところに通報されるようなリスクは冒せないということだ。
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