プレゼント

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ガタガタっ 男が住む、村のはずれの小さな古い小屋。 すきま風がガラスの引き戸を揺らし、嫌な音を立てた。 クリスマスイブの夜。 夕方から降り積始めた雪は、しんしんと降り積り、男の住む小屋の周りの色と音を消しさっていく。 いまこの男に聞こえてくるのは、すきま風の立てる音と、目の前の石油ストーブの上に置かれたやかんの蓋がカタカタいう音だけ。 (ホワイトクリスマスにもホドがあるわい) 男は白い顎髭を撫でながら、上から送られてきた今夜の手順とルートを、頭の中でもう一度復習してみた。 もういい歳なので、道を覚えるのも操縦するのも、毎年だんだん苦痛になってきている。 だが後任が決まらないのか、上からなかなか引退させてもらえない。 (もう、今年を最後にさせてくれって、お偉いサンに言ってやろう) 男が必死に今夜のスケジュールと道順を頭に叩き込んでいると、やがて雪がやみ、凄い勢いで雲が流れ、窓の外に星空が現れた。 星あかりだけなのに、村全体がぼんやりと明るく浮かび上がっている。 (助かった…) 雪がこれ以上降らなければ、少しは早く終われるかもしれない。
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