第1章 安西航 7

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第1章 安西航 7

 翌日―  朝、6時に起床した航は着替えを済ませるとさっそくPCに向かい、ポスター作りを始めていた。 PowerPointを起動し、茜が送ってくれた猫の写真画像を挿入して文字を打っていく。 カタカタカタカタ.... 航は朝食をとるのも忘れるほどにポスター作りに専念した―。  1時間後― 「よし、こんなものでいいかな?」 航はPC画面を何度も確認し、構成や構図におかしな箇所は無いかどうか確認するとレーザープリンターの電源を入れた。 ガコン 印刷機の起動する音が響く。 「とりあえず、1枚だけ印刷してみるか…」 航は呟くと、レーザープリンターに耐水紙をセットし、次にPCの印刷画面を表示させて枚数に「1」を設定すると印刷をかけた。 ウィ~ン… 途端に機械音が流れ始め、ガーッという機械音と共に1枚のA4サイズの用紙が吐き出された。 「よし、どれどれ…」 航は刷り上がったポスターを何度も何度も見直すと言った。 「よし…これでいいだろう」 そして再び、枚数に「99」を入力すると印刷をかけ始めた。印刷をしている間に航は台所へ向かい、ヤカンに水を入れてガス台に火をつけてお湯を沸かし始めた。 「フワアアア…」 航は欠伸をして大きく伸びをすると食器棚からマグカップとインスタントコーヒーを取り出しコーヒーのふたを外すと、サッと一振りしてコーヒーをカップに移す。 「…そう言えば父さんに言われてたよな…。うまいコーヒーを淹れるようにしろって…。あいにく当分俺にはそんな余裕は出来そうにないけどな…」 そして航は棚の中に入っている食パンに冷蔵庫から取り出したチューブバターを塗ってオーブントースターへと入れた―。  お盆にコーヒーの入ったマグカップ、皿の上に乗せたトーストを事務所に運んだ航は長テーブルにお盆を乗せるとPC の様子を見た。するとすでに印刷は終了していた。 「食べたらポスターを貼りに出かけるか…」 ポツリと呟くと航は簡単な朝食を食べ始めた―。 **** 「ありがとうございましたー」 航は頭を下げると紙袋に入れたポスターを持ってマンションを後にした。今、航はマンションの管理人に掲示板に自分の作成したポスターを貼らせてもらったのだ。 「よし、残りは後半分か…」 航はマンションの外に止めてあった単車からハンドルにぶら下げていたヘルメットを被り、単車にまたがるとエンジンをかけた。 「さて、行くか」 ブオン 航はエンジン音を立てると、次の目的地へと向かった―。 ****  午後4時― 「ふう~…やっと終わった…」 100枚全てのポスターを猫のいなくなった茜の住むマンションを中心に半径100mの範囲でポスターを貼り終えた航は疲れ切った身体で事務所へと戻ってきた。 ドサリ 事務所の鍵を開けて長椅子に座り込む。 「あ~…しかし、今日は疲れたな…」 航はコキコキと首を鳴らすと長椅子に寝転がった。今日航は100枚分のポスター貼りとは別に5か所で便利屋の仕事を行ってきたのだ。これで疲れないはずがない。 「さて…迷子猫の情報は入って来ているかな…」 航はムクリと起き上がるとテーブルの上に放り投げてあったボディバックを手元に引き寄せ、ジッパーを開けてスマホを取り出した。 「…」 メールに届いていたのは全て便利屋の仕事依頼ばかりだった。 「まぁ…今日ポスターを貼ってきたばかりだからな…早々簡単に結果が出るわけないか…。茜には今日の結果を報告しておかなくちゃな…」 そして航は茜にメールを打つと、送信した―。
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