撮影

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 全身で息をする雪也は未だベッドに沈んだままだ。意識が飛びかけているのか、雪也の焦点は定まらなかった。  松永は半ば駆け足で駆け寄ると、雪也の両耳の横に手をついてその瞳を覗き込んだ。  スタッフの騒めきを尻目に雪也の名前を呼ぶ。  幾度か繰り返すと松永の視線と雪也の視線が交差した。 「あ……」 「雪也」  不安気に眉を下げた雪也が、何か言いたげに唇を開閉する。 「……いい子だ」  松永はその頭を撫でて、その顔を綻ばせた。 「へへ……っ」  雪也はふにゃんと笑った。
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