97人が本棚に入れています
本棚に追加
/47ページ
全身で息をする雪也は未だベッドに沈んだままだ。意識が飛びかけているのか、雪也の焦点は定まらなかった。
松永は半ば駆け足で駆け寄ると、雪也の両耳の横に手をついてその瞳を覗き込んだ。
スタッフの騒めきを尻目に雪也の名前を呼ぶ。
幾度か繰り返すと松永の視線と雪也の視線が交差した。
「あ……」
「雪也」
不安気に眉を下げた雪也が、何か言いたげに唇を開閉する。
「……いい子だ」
松永はその頭を撫でて、その顔を綻ばせた。
「へへ……っ」
雪也はふにゃんと笑った。
最初のコメントを投稿しよう!