座敷童

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雪也は性的な虐待を受けてはいたが、それ以外は至って普通の人間と同じように管理されていた。  食事も清潔な布団も与えられていたし、部屋から出ることを教えられていないだけで、鎖で繋がれることもない。先生の授業には体力をつけるために運動も授業には含まれていた。  男を喜ばせるための体に仕上げる。雪也に与えられる全てのものはそれが目的で、そのための手段にすぎなかった。  体も出来上がってきて精通もした後からは、それは更に顕著となる。  雪也には他にやることがなかった。だから雪也は暇を持て余し、自らの空白を埋めるように貪欲に先生の教えを実践する。  未だ雪也の世界は、自分と先生だけだった。  その狭い世界で、雪也か出来ることは、ただ一つだけだ。  普段素っ気ない先生も、雪也が淫乱な仕草を覚えれば、覚えるだけ褒めた。  一方で、本気で怯えを見せたり、間違いを犯したりすれば、理性を飛ばすまで快感で教育する。  雪也はその時が一番苦手だった。 「も、やぁ……っ、ゆるして、あああああ……っめ、だめ、ゆるしてくださいいいい……っ」 「何度言えばわかるんです? もしかしてこの授業を期待しているんですか?」  ぐりぐりと前立腺を抉られて、チカチカと目の前に星が散るのを、雪也はひたすら耐えていた。  快感に全てを投げ打ってしまえば楽になるのは理解している。  しかし意識を丸ごと快感に染めるのには恐怖が伴って、そう簡単には自分の意思でどうにかできるものではなかった。 「してな……っしてない、です……っも、や……っ」 「仕方のない子ですね。ほら、快感に身を任せる授業ですよ? 早く理性など捨てなさい」 「ひぃう! ひ……っ、ぁ、あ、ああ……っイ、く……っイ、ちゃあああ……っ」 「理性があるうちはイかせませんよ、教えたでしょう?」  雪也はどんどん先生のいいように染められ、都合の良い体に作り替えられていった。  雪也が、世界に先生以外を認識したのは、十三の時だった。 「先生……?」 「挨拶なさい。お前の主人ですよ」  それは、雪也が初めて見る父親というものだった。  突如世界に割って入った人間。雪也はわけもわからず只管恐怖した。 「仕上がりの確認をお願いします」  先生はそう言って、父親という男の前に裸の自分を差し出した。  父親が、雪也の頭の上から足の先までを吟味するように睨める。  これが、父親?  俺の、主人?  初めての経験に立ち尽くすことしか出来ない雪也を、父親は乱暴にベッドの上に放り出した。  体がバウンドする間もなく、父親が雪也に覆い被さる。  そして、父親は、そのまま雪也を犯した。  そこに躊躇いはなかった。  男を誘う拒絶以外を、雪也は教えられていない。  既に先生とは何回もセックスしていた雪也は、自分にとってそれが当然の行為なのだと受け止めた。 「お前の役目は、この家のため、この父のため、そして兄のために、その体を捧げることだ」 「それがお前の幸せであり、この家の幸せなのだ」  容赦ない突き上げの間に囁かれた言葉。  雪也はしっとりとその役目を胸に刻んだ。  そして、次の日から、雪也は取引先の人間に、毎日のように抱かれた。  それが、雪也の日常になった。
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