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春も間近と言えど外はまだ肌寒くて…
頬をかすめる風が、冷たい。
栞の告白に…一瞬、時が止まったような錯覚を起こした。
「… …好き…って… …
好きだから、友達になってってのは…なしだよ?」
「… …言わないよ… …」
疑いの色を浮かべる翼に、気まずい視線を送る。
「…後になって、気の迷いだったってのもなし」
「何それ。ないから… …」
「・・・ーー~っごめん。やっぱ信用ないやぁ~」
そう言ってうなだれて見せる翼を、むっと口を尖らせて小さく睨む。
「だって、しおりさんだよ?あの仕事大好き、仕事一筋の…しおりさんだよ?そんなの…浮気じゃん」
「ちょっと!どーゆーイメージよ!?」
「…だって、しおりさんが夢を諦めて…
僕を選んでくれるなんて… …ないでしょ?」
わずかに赤面し、じとっと上目遣いに栞を見つめる
どれだけ自分は翼の期待を裏切ってきたのか…
と、過去の自分を振り返る。
こんなに信用を失ってしまっていたとは…
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