不安

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ねぇ聞いた!?いま製造部に来てるバイト君! 聞いた聞いた!あの子でしょ!?有名な子! 私見かけたよ~♪ え~いいなぁーーー!! めーっちゃくちゃ可愛かったぁ~!! 「東雲 翼(しののめ つばさ)くん!!」 「はーい ♪」 「君のバイト先は"製造部"でしょ?なんでこの"営業部"にいるのかしら?」 キラッキラの輝く笑顔。まるで物語の中から出てきたかのような王子様スマイルを見せる…時の人。 東雲 翼 21歳。 難関S大学 人間工学部の4年生。 透き通るほど透明感のある肌に、長いまつ毛。 色素の薄い瞳は煌めいて、鼻から口にかけてのバランスは正に黄金比。 CGで作られたかのようなその美しさは中性的で、一見すると女の子にも見えるほど。 「ヤダなぁしおりさん。人を遊びに来てるみたいに…開発の方の仕事が終わったら、営業部も手伝って欲しいって言われてるんですよ♪」 ふわっと笑う翼の美しさに、思わず見惚れかけてしまう。が、そこは冷静に… 「…そ、そうなの?ま、定時になったら帰ってね。アルバイトの子に残業はさせられないから」 凛とした表情、佇まいで翼にそう言うのは、 月雲 栞(つくも しおり)25歳。 某大手アパレルメーカー 営業部 勤務。 「はーい♪」 栞の目の前でご機嫌に返事をして見せる翼が、そっと身をかがめる。 そして、栞の耳元で小さく囁いた。 『終わるの待ってる。一緒に帰ろ?』 『…りょーかぃ』 わずかに赤面し、栞も小さく返事をした。 そんな2人は先日、めでたく付き合うことになりました。
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