不安

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いつものように翼の手料理に舌鼓し、ソファに深々と座った格好で、翼の淹れてくれたミルクティーに口をつける。 「ふぅ。落ち着く…」 まったり♪と、満足そうに微笑む栞の左隣が、翼の定位置となっている。 片付けを終えた翼がソファに座ると同時に、きゅうっと甘えるように栞を抱きしめた。 ふわっとした翼の髪をよしよしと撫でると、嬉しそうに抱きしめる腕に力を込める。 以前はモデルのバイトが頻繁で、白っぽい金色に定着していた翼の髪色も、今は企業でのバイトということもあり少し色を加えたようだ。 といっても、社会人ナメんなカラーではある… そう言うと翼は笑いながら、栞がミルクティーが好きだから"ミルクティーベージュ"にしたのだと言った。 「つ、つばさ君?重い~!」 翼が体重を預けて来るため、そのままソファの上でバランスを崩してしまう。 と、翼に覆われる形となった。 「しおーりさん♪…好きだよ」 甘えた表情で自分を見下ろす瞳が綺麗で そのやや高めな甘い声にも、きゅんとしてしまう。 「な、なぁに?急に… …わ、私も…スキ、だょ?」 照れ臭さから、相変わらずフェードアウト気味な戸惑ったような返答。 そんな可愛げのない返答にもかかわらず、キラキラと煌めく翼の瞳が満足そうに細められるのだ。 いくら見ても飽きない。 この王子様スマイル。 ーー…綺麗… … と、いつでも見惚れることができる。 「仕事中のしおりさん、綺麗だったよ?」 「…そんなわけないでしょ?仕事中なんてピリピリしてるし…」 「うん。かっこよくて…早く、こうやって、触れたかった… …」 そう言う、翼の綺麗な瞳が近づき ちゅっと軽く額にキスをする。 ーーん~~…甘えん坊モードだぁ…
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