174人が本棚に入れています
本棚に追加
段ボールが栞の視界から礼央を奪っていく様を
はっきりと、思い出す。
「レ、レオ君っ!?レオ君!!」
頭の中が真っ白になる。
最悪な事態しか想像できなくて
心臓が張り裂けそうなほどに拍動し、指先が小刻みに震える。
ーーど、しよ…レオ君に何かあったら…
「…レオ君っ!!」
「…はぃはーぃ…」
と、崩れた段ボールの間から、声が聞こえた。
同時に段ボールが大きく揺れて、かき分けるように礼央が姿を現す。
慌てて礼央の傍へかけより、側の段ボールを端へやる。
バンバン!バンバン!!
「月雲!レオ!いるのかっ!?大丈夫か!?」
ドアを叩く音に、緒方の声が重なる。
「お、緒方さ…レオ君がっ…」
胸の前で手を組み、震える声で答える栞に
礼央か床に座った格好のまますっと手を伸ばす。
優しい指先が栞の頬に触れ…
「怪我、ないすか?」
礼央の問いかけに、頭を縦に振る。
礼央の穏やかな声にほっと胸を撫でおろすと、途端に涙が込み上げてきた。
「…ぁ、たしじゃなくて…レオ君が…」
涙で濡れる栞の瞳をじっと覗き
栞を…抱き寄せた。
「…かったぁ~…マジ、栞さんに何もなくて…」
最初のコメントを投稿しよう!