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その後、故障した鍵は扉ごと外され、栞と礼央はようやく出られることができた。
礼央の上から降ってきた段ボールにはファブリックやフェザーなどの素材が中心だったため、大きな怪我には至らなかった。
ものの、バランスの悪い中で栞を庇った時に足を捻ったようだ。
ひとまず病院で手当てをしてもらい、タクシーで礼央のマンションへ向かった。
礼央は一人で大丈夫と言ったが、さすがにそこは責任を感じてしまう。
栞も付き添うこととしたのだ。
大きな礼央を支えることもできず、特に手助けもできないが…ひとまず礼央のバッグを手に後に続く。
「遅くなっちゃったね…」
「ごめんね?栞さんまで付き合わせてしまって」
「何言ってんの!元はと言えば私が…」
礼央の部屋に着く。
そういえば、翼以外の男の子の部屋を見るのは初めてだ。
AV機器やらロボットやら、よく分からない機械の並ぶ翼の部屋とは全く違い…
礼央の部屋は、シンプルだと思う。
ーーまぁ、きっとこれが通常なんだろうなぁ…
と、ピカピカチカチカ様々な機械が点滅したり、アラームが鳴っていたり…そんな翼の落ち着かない作業部屋を思い出す。
玄関先で、礼央がじっと栞を見つめた。
その視線に、何?と疑問符を浮かべる。
「・・・入ります?」
「うん。お邪魔してもいい?」
「え!?」
「レオ君、何も食べてないでしょ?その足じゃ色々と不便だろうし…良ければ何か作ろうかなって…」
そう言って、診察の待ち時間に購入しておいた食材を礼央に見せる。
「…ダメかなぁ?」
「・・・ダ、メなわけ、ないす…」
かぁっと赤面する礼央に笑顔を向け、さっそく料理に取りかかった。
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