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『何時になっても気にしなくていいから。連絡ちょうだい』
そう、栞にメッセを送り、研究室に戻る。
が…集中できるわけもなく…
「・・・つばさ?データとっくに読み込んでる」
「え?…あ、ごめん」
「ぼーとしてる。らしくないね?」
「…気をつけるよ」
フランス…といえど、研究室は多国籍で交わるため英語での会話。そこは本当に助かる。
「日本が恋しくなった?」
翼をからかう様に、アメリカ国籍のローラが言う。ローラは翼より年上で確か、26歳になると言っていたので…栞と同い年か。
「・・・ローラ、恋人いる?」
「わぁ♪そういう話!?大好き!恋人いるわよ♪
アメリカで研究員してる」
瞳をキラキラと輝かせ、ローラが食い気味に言う。
「つばさの恋人は!?男性?女性?」
「会社員してる年上の女の人で…ローラと同じ歳」
「つばさ…見た目によらず22歳だものね?高校生くらいにしか見えないけど」
「…どーせ」
「喧嘩でもしたの?」
「してないよ。怒らせちゃうことはあるけど、結局何でも許してくれるんだ」
「あれね?日本語で『ラブラブ』♪」
「ははっ そーだね。すごく美人で、かっこよくて、素敵な人なんだ。だから…不安になる」
「…他の人に行っちゃうかもって?」
「ん~…そうなのかなぁ?それもあるけど… 何かあっても、今の僕じゃ彼女を助けてあげられなくて…焦ってんのかな、僕が弱いから…」
「…複雑ね?」
「面倒くさいでしょ?」
そう言って苦笑する翼をローラがじっと見つめる。
「つばさも少しずつ前に進んでるわけだし、気負っちゃダメよ?焦っていい事なんて無いんだから!」
「…そうだよね」
と、言ってみたものの…
不穏な気持ちは渦を巻いて、簡単には消えてくれないのだ。
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