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『心配かけてごめんね。地下の倉庫の扉が故障して一時閉じ込められちゃった。でも、私は怪我もなくて無事です!ただ、一緒にいた子が私を庇って怪我しちゃって、付き添ってたら遅くなっちゃった』
終業後、大学から出た時に不意にスマホがなり、栞からそんな内容のメッセが入った。
翼の時計は17時を回ろうとしている。
と言うことは、日本では日付が変わる頃か。
ーー怪我した…て、あいつのこと?…いつまで一緒にいたわけ?
栞の無事に安心したのと同時に、自分でも明らかに分かるほどに…イラっとしてしまう。
『もしもし、つばさ君ごめんね?』
電話をかけると、いつも通りの栞の声。
ひどく…会いたいと感じる。
「無事でよかった…」
『…ごめんなさい』
色々な感情が渦巻いて、思わず、ぶっきらぼうな言い方になってしまう。
「…レオってヤツに何かされてない?」
『え?何でつばさ君、レオ君のこと知ってるの?』
「はぁ…マジで、不用意にそういうのに近づかないで」
『だ、大丈夫だよ!レオ君はそんな子じゃ…』
イラつく…
「へぇそんな信頼しちゃうくらい仲がいいんだ?」
イライラする。分かっている。これは自分の勝手な感情で、当たる場所を間違えている。
「信頼させといて、手出してくる奴かもしんないだろ。前回のストーカーの件で懲りたんじゃないの?…本当、これ以上心配させないでくれる?」
苛立ちから、思わずいつもになくキツい口調だったと思う。
ーーヤバっ…
と、気づいた時にはすでに…取り返しがつかなくなっているものだ。
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