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『…な、によ…つばさ君なんて、何も知らないくせに…お忙しいところ心配かけてごめんね!』
「は!?何でそうなるの…」
プツッ
「しおりさん!?・・・最っ悪… …」
イライラする。分かっている。これは自分の勝手な感情で、当たる場所を間違えている。
分かっているのに…
ただ、どうしたらいいのかが
分からない… …
大学を出てすぐの街路樹に設置されたベンチに腰をかける。と同時に、はあぁぁ~と大きなため息と共にうなだれる。
あんなことを言うつもりはなかった。
ただ、栞の傍にいないという焦りから、礼央という男の存在が翼の中で目に見えない脅威となっている
…不用意な言葉だったと、自覚はある。
だが、やはり礼央を庇う栞にはもしかして、少なからずも礼央に対する好意が… …
「Hey! What are you up to?」
ふいに頭上から女性の声がする。
「Nothing… …」
そう返答しながら、視線を上に向ける。
と、翼を覗き込むローラの姿があった。
「やっぱり!つばさじゃない?どうしたの!?こんなところに座り込んで…」
「・・・ローラ~…」
頭の中がぐちゃぐちゃで、まったく整理がつかなくて、こんなこと初めてで…
ローラの心配そうな顔を見て、思わず情けない声をあげてしまった。
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