2022年 ハロウィン🎃番外編SS 駿&想

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2022年 ハロウィン🎃番外編SS 駿&想

今日はHalloweenの番外編です。 駿と想の初々しいハロウィンの一日をお楽しみ下さい。 昨日の展開から少しだけ時をワープしますが、明日また戻ります。 ****  もう10月下旬。  想の家の近くに引っ越してきてから、一ヶ月近く経っていた。  気がつけば、寒色だった駅ビルやコンビニの飾りや広告が、黒やオレンジ、パープルとカラフルに賑やかになっていた。  そうか、もうすぐハロウィンか。  季節が色づくように、街も色づいていくようだ。  俺の心は、今年、最高の紅葉を迎える!  上機嫌でコンビニに立ち寄ると、カボチャのお菓子と目が合った。  ハロウィンと言えば、小学校の頃、おばけや海賊の格好に仮装して公園に集まって友だちの家を回ったよな。  もちろん引っ越してきたばかりの想も誘ったが、寂しそうに首を横に振るだけだった。 「……みんな、僕のこと知らないし……悪いよ」 「そんなことない! みんな本当は想と仲良くしたがっているんだよ。俺が一緒だから、行ってみようよ」 「……本当に……いいの? 大丈夫かな?」 「大丈夫さ」 「じゃあ頑張ってみる。お母さんに話しておくよ」 「あぁ全員で8人だから、おやつを8個用意しておくんだぞ」 「うん! 分かった」    そんな約束をしたのに、想は当日、具合が悪くて学校を休んでしまった。  もちろんハロウィンの集まりも欠席だ。  せっかく皆と仲良くなれるチャンスだったのに、残念だった。    だからオレは、みんなと別れてから、ありったけのおやつを抱えて想の家に寄ったのさ。 「まぁ駿くん、可愛い格好ね。それは海賊さん?」 「そうだよ! おばさん、トリックオアトリート!」 「うふふ、駿くんHappy Halloween! こういうの初めてで、うれしいわ」  おばさんは、玄関に置いてあったお菓子の包みを渡してくれた。  あれ? 他にも沢山ある。  そうか……皆が来ると思って、沢山焼いたのか。 「わぁ、クッキーだ!」 「カボチャやおばけのカタチなのよ、駿くんが来てくれて良かったわ」 「……みんなの分のクッキー、俺が皆に届けてあげるよ」 「まぁ、ありがとう、でももう遅いから、大丈夫よ」 「うーん、じゃあお母さんが一緒ならいい?」 「……ごめんね。駿くん、ありがとう」 「大丈夫だよ。それより想の具合はどう?」 「どうぞあがって。今日はもう熱は下がったんだけど、ずっと部屋にいるわ」  想の部屋に入ると、想は赤い目でベッドに寝ていた。 「駿……来てくれたの? 今日はごめんね。せっかく誘ってもらったのに」 「そんなこと気にするな」 「でも……みんなにも迷惑かけちゃった」 「そんなことないよ。ほら、これ……みんなから預かった想の分のお菓子」 「え……」  ちゃんと想の分も用意してあったんだ。 「みんなも、みんなのおうちの人も、想に会いたがっていたよ」 「ほんとうに?」  想の目が、またじわっと赤くなる。 「ばか、泣くなよ」 「でも……そんな風に思ってもらえて……うれしいのと、熱を出して行けなかったのが……悔しくて……」 「もう熱は下がった?」 「今はね……あーあ、行きたかったな」    今日の想は素直に弱音を吐いてくれる。  続いて赤く潤んだ目から、ほろりと涙が流れた。  それが不謹慎だが……まるでうさぎみたいで可愛いなって思った。 「想、これつけて」 「え?」  想に似合いそうだと思って母さんに買ってもらった『うさぎの耳のカチューシャ』を、そっとつけてあげた。 「やっぱり似合うな」 「僕、うさぎ?」 「あ……ごめん。違うのが良かった? じゃあ俺の海賊の帽子にするか」 「ううん、これがいい。想が選んでくれたのがいい」  想は窓硝子に自分の顔を映して、確かめていた。  良かった。やっと笑ってくれたな。  その笑顔が、とても可愛くてズキュン! 「かわいいな」 「そ、そうかな?」  今度は目ではなく、頬を赤く染める控えめな笑顔に、またズキュン! ……   「やばい……俺、今……猛烈に想をうさぎにしたくなった。しかも耳だけでなく、全身すっぽりと!」  吸い込まれるように新宿駅前の量販店に入り、衝動的に淡いピンクのうさぎの着ぐるみを買ってしまった。ついでに俺用にベージュのクマの着ぐるみも。  想は恥ずかしがり屋だから、外で仮装を期待するのは可哀想だ。  だがHALLOWEENの夜くらい、想が嫌がることはしたくないが、俺がして欲しいことも叶えて欲しい。 そんな願いを込めて、俺の家に遊びに来た想に思い切って提案してみた。 「想、スーツ脱げよ」 「え?」 「想が会社帰りに遊びに来てくれるから、部屋着を用意しておいたんだ」 「そうなの? ありがとう! どれかな?」 「これさ!」    モコモコのうさぎの着ぐるみに、想が一瞬固まった。  やっぱり駄目かな? 「駿、これ……僕の?」 「えっと、想だけじゃなくて俺もするからさ」 「嬉しい! すぐに着るね!」 「え! いいのか。もっと抵抗すると思ったのに」  想が優しく微笑む。 「これって……ハロウィンの仮装だよね? ずっと駿ともしてみたかったんだ。だから嬉しくて」 「ん? てことは、海外では……した?」 「まぁ……場に溶け込むために必要だったから」 「どんな格好をしたんだ? ま、まさか妖精とかお姫さましちゃったのかー」  ガクガクと問い詰めると、想が楽しそうに肩を揺らした。 「くすっ、そんなんじゃないよ。僕は男だよ? 妖精やお姫様なんて……あ、でも駿が見たいならするよ」  おいおい、想は俺に甘すぎるぞ? 「そうなのか! そ、それは、おいおい。で、向こうではどんな格好を?」 「うーん、一番喜ばれたのは和装かな」 「えー、それって仮装っていうのか」 「ふふ、そうだよね……一応、大正ロマン風を目指したんだけど、向こうの人には伝わってなかったかもね」  相変わらずおっとりした想だが、そんなところも含めて大好きだ。  その晩、淡いピンクのうさぎになってくれた想を、ソファで長い時間バックハグしてやった。  時々想を振り向かせ甘いキスを交わしたり、モコモコの着ぐるみの上から胸や腰、丸い尻尾のついたお尻を撫でまわしながら。 「あっ……んっ……ん……そこは……駄目だよ」 「想のうさぎ、可愛すぎてヤバい……ううう、そろそろマジでヤバい……」  ずっとくっついてイチャイチャしていれば、やっぱり我慢できなくなって、少しずつ背中のファスナーを下ろしてしまった。  うさぎの耳を持ち上げて、耳元で甘く囁く。 「あの日の、想のうさ耳、可愛かったな」 「駿の海賊……かっこ良くてドキドキしたんだ。僕……あの時、とても顔が赤かったんじゃないかな?」  既にうさぎの着ぐるみを半分脱がされた想が、くすっと微笑む。 「あの時も今も可愛いし、同じくらい赤い顔になっているぞ」 「あっ……」  可愛い胸の尖りに、優しくキスをしてやると、想の身体が跳ねた。  想と過ごす甘いハロウィンナイト。  ふたりだけの夜に、そろそろ突入だ。    お互い裸でベッドに潜り込むと、ソファには脱いだばかりのうさぎとくまの着ぐるみが仲良く並んでいた。  俺たちは、昔も今も、いつも仲良しだ。 あとがき **** 楽しく書いていたら2,700文字になっていました。 少しほろりとする思い出から、現在の二人の様子へと。 昔も今も仲良しで、いつも初々しいカップルです💕 駿と想も、うさぎとくまが似合いますね! 瑞樹や瑠衣が白いうさぎなら、想はピンクのイメージです。        
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