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初恋 Sunshine 2
数日前、母からの連絡を受け、会社帰りに実家に立ち寄った。
「お母さん、どうしたの?」
「想、急に呼び出してごめんね」
「ううん、会いたかったから嬉しいよ」
「まぁ、可愛いことを言ってくれるのね。想はいつも優しい子。あなたの夏物の衣類、少し足りない気がして、横浜のデパートにお父さんと行って見繕ってきたのよ」
机の上にはデパートの包みが山積みになっていた。
「これ、全部いいの?、開けてみてもいい?」
「もちろんよ」
お父さんとお母さんの気持ちが嬉しくて、目の前で開けてみた。
「わぁ、夏用のパジャマに肌着まで! ありがとうございます。こっちは何だろう?」
「コホン、それはお父さんが選んだんだ」
「お父さんが?」
それはラッシュガードとサーフパンツのセットで、ホワイトとネイビーの組み合わせが爽やかで、まるで僕と駿みたいだ。
「どうだ? 駿は海が好きそうだから、想もラッシュガードがあれば、一緒に行けると思ってな」
それは、まさに最近の悩みだった。
幼い頃、沖縄の海で火傷レベルの日焼けをして病院に担ぎ込まれた経験がある。入退院を繰り返していた僕の肌は、強い日差しに対応出来なかったのだ。
だから僕はずっと海水浴を諦めていた。
でもこの夏は、駿と海に行きたかった。
駿は夏の海が最高に似合う男だから。
「嬉しいよ。お父さん、お母さん、ありがとう」
「二人で楽しい夏休みを過ごすんだよ」
「僕、こういうのが欲しかったんだ」
「そうか、そうか」
「想、くれぐれも気をつけるのよ」
「はい、お母さん」
二人が僕のために水着を買ってきてくれた気持ちが嬉しかった。
週末には海に行こう!
いつ駿に言い出そうかドキドキーワクワクしながら、金曜日の夜、駿に抱かれた。
激しくも優しい逢瀬。
窓際のベッドに仰向けに寝かされ、パジャマを脱がされ、足を大きく開かされ、胸の粒を何度も夢中で吸われた。
僕は喘ぎながら、シーツに大きな波を作った。
明け方、うっすら目覚めると駿が窓の外を眩しそうに見つめていた。
しゅーん、やっぱり海に行きたいんだね。
大丈夫。
僕も同じ気持ちだよ。
僕も行けるよ。
駿と同じ姿にはなれないけれども、駿の隣で海風を浴びたい。
「駿、今日は海に行ってみない?」
お父さんとお母さんのお陰で、僕から海に誘うことが出来た。
「いいのか! 行けるのか」
「うん、一緒に行こう」
「お、おう!」
すぐに駿の笑顔が、波飛沫のように弾けた。
真夏の太陽のように明るい笑顔だ!
水着に着替えて砂浜に立つと、海上がキラキラと輝き眩しかった。
ここは僕が今まで一人では立てなかった場所だ。
さぁ、いよいよ僕らの夏が始まる!
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