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初恋 Sunshine 6
想の清楚な顔立ちを見つめていると、小学生の頃を思い出した。
夏休み明けの想は、普段より更に可愛く感じた。
日焼けしていない白い肌が清楚な想に似合って、クラスの中で輝いて見えたんだ。
その柔らかそうな頬に触れてみたい。
そんなことを思ったのは、いつからだったか。
触れたくて、触れたくて、触れたくて……
その淡い願望は成長するにつれ、どんどん熱を帯び膨らんでいった。
そんな想が自分から俺にキスしてくれるなんて、俺はまだ夢の続きを見ているのか。
いやこれは現実だ。
青と白のパラソルの影で、俺の汗をしょっぱいと甘く微笑むんだから、まったく想にはヤラレル!
お淑やかだと油断していると、急に大胆になる。
だが、それが嬉しい。
想が積極的にしたいことがあるのが、嬉しい!
その相手が、この俺で嬉しい!
(auさんが作って下さったあつ森画像です)
「想……」
今度は俺からもしよう。
想の後頭部に手を回して、深い深いくちづけをした。
海に潜るように想の口腔内に潜り舌を絡めると、なんとも甘い心地がした。
おっと、この辺でやめないと、ここから一歩も動けなくなるよな。
「あっ……」
俺たちの居場所は、舞台の最前列だ。
眼前には、真夏の青い海だけが広がっている。
「想のは甘い」
「あ……恥ずかしいな」
頬を淡く染める想の頬を、優しく撫でてやる。
「おいおい、恥ずかしがるなよ。そもそも想が最初に仕掛けたんだぞ」
「うん……ずっと、ここでしてみたかったんだ」
「俺もだ」
「じゃあ一緒だね」
それから想の素肌に、日焼け止めを塗ってあげた。
塗り残しがないように丁寧に、ほっそりとした足、綺麗な顔、形のより耳朶にも……全部俺が愛した想の身体だ。
こんな瞬間にも、ふと愛おしさが込み上げてくる。
「よし、これで準備OKだ。やっぱり思った通りだった」
「ん……何が?」
「想には夏が似合うな!」
「えっ、そんなこと……生きて来て一度も言われたことないよ?」
想がキョトンとしているので耳元で教えてやる。
「じゃあ俺、また想の初めてをもらえたんだな。想は空に浮かぶ白い雲のようだから、真夏の青空が似合う」
「しゅーん、ありがとう。駿と過ごしていると僕はどんどん変われる。それが嬉しいよ。さぁ、海に行こう!」
想からの誘い。
きっと、それは……ずっと幼い頃から言ってみたかった台詞だろう。
「想、もう一度言ってくれないか」
「うん、駿、海に行こう!」
「おう! 一緒に行こう!」
想の華奢な手首を掴んでパラソルから飛び出した。
裸足で砂浜を蹴ると、灼熱の太陽を足裏に感じた。
「わ! 熱いよ」
想はかつての火傷を思い出したのか、一瞬怯んだ。
「大丈夫だ! 俺がいる!」
だから手をグイと引いてやる。
「海まで一気に走ろう!」
「うん!」
俺たちは夏の日差しを浴びながら、青い海へダイブした。
白い波飛沫を浴びる想は、思った通り、夏が最高に似合う男だった。
(画像collage しいほうみ by picsart)
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