私の記憶

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 電気も()けることもできなくて、二人で固まったように、揺れが(おさ)まるのを待つしかできませんでした。  暗闇だからでしょうか、部屋の柱がきしんで揺れるのが見えるようで、余計に怖かったです。  寝室には、倒れて問題になる家具を置かないようにしてましたから、(つぶ)される心配はなかったんですけど、本棚のある隣りの部屋からは物が落ちる音が聞こえてきます。でも、動くことができません。  とにかく、早く地震が収まってほしい。それだけでした。  多分、揺れは三分もなかったと思いますけど、体感的にはもっと長く感じました。  地震が収まったと分かっても、すぐには動けません。本当に終わったのか、まだ揺れているようにも感じて、固まったままでした。  やっと落ちついて、家族が電気を点けました。隣りの部屋を見ると、本が床に散らばってました。  音から予想される光景でしたので、驚くことはなかったです。  でも、きちんと確認する前に電気が消えてしまったんです。
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