act.2 魂の回帰

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 食卓は朝から和洋折衷の豪華な食事だ。ただし焼き立てパンと味噌汁以外は昨日の夕食のリメイク。相変わらず我が家はこれが大得意。 「すごいな、まるでホテルの朝食だ」  ロードワークから戻り、シャワーを浴びて来たアレックスもびっくり。今朝も父ちゃん宅でバイキング形式だ、人数が多いからね。物が残る限りリメイクを繰り返す我が家のお惣菜だ。絶対に食材をムダにしたりしない。 「アレックス、今朝のお勧めはばあちゃんのパンと母ちゃんの味噌汁、美音の卵焼き、昨日の刺し身を生姜醤油で揚げ焼きにした物が美味いぞ」  本当にそこだけでも和洋折衷。昨日の刺し身の揚げ焼きは俺のお気に入りで、唐揚げが酢豚(酢鶏?)になったりはおなじみリメイク。サラダがオムレツになったりもレパートリーが増えてるな。 「ああ、目移りしそうだ」 「アレクおにぎりもいっぱいあるわよ、遠慮しないで沢山食べてね」  にゃん太の食器を持った美音がキッチンから出てきた。ダイニングの隅に置かれたにゃん太セットにそれを置くと待ち構えていたにゃん太が食べ始める。良かった、今日も食欲がある。にゃん太も元気だ。  色々な料理を載せた皿を持って、昨日と同じテーブルに着席。アレックスもウォルフもやって来て、一緒に頂きますをする。そこに昂輝も来た。 「昂輝、さっき庭で隆成おじさんに会ったぞ。醸造所がいつもの年末事情でヘルプだって」 「あ?そうか年末だ、手伝いに行くか」  昂輝も慣れたものだ。 「俺とアレックスは今日買い物が有って出掛けるから。昂輝達は?」 「うん、午前中は莉緒菜師匠の所にご挨拶に行く。父ちゃんから今夜の宴会に引っ張り出せって言われたんだ、あそこの夫婦は出不精だから。本当はアレクも連れて行きたいが今度な」 「ああ」  確かにあの夫婦はその辺アクティブでは無いな、結構なインドア派だ。 「師匠?カイさんのお師匠様は東堂孝蔵さんでは?リオナ師匠?」  訝しがるアレックス。あ、ヤベ。またナチュラルに話がややこしくなる伏線が。 「そこからか、莉緒菜師匠は元はこの地元にある天武流宗家道場の筆頭師範だった方だ。うちの父ちゃんには親同然の方で直接の師匠。NY道場(うち)の御巫宗治館長自慢の弟…いや、妹弟子だ。最終段位は八段だったな」 「はい?」  ???という表情のアレックス。無理もないか、父ちゃんの師匠は東堂孝蔵の筈だもんな。 「まぁ、会えば分かる。今度一緒に稽古に行こう」 「分かりました。とにかく自分にとっては最高の敬意を払わなければならないお方ですね、ぜひお会いしてご挨拶せねば」  まぁ、一度会って稽古をつけてもらう機会があれば色々分かるんだろうな。相変わらず父ちゃんが敵わない唯一無二のお師匠様だ。 「分かった、じゃあそっちを頼む」  俺はばあちゃんに相談だ。  
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