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マークさんの店で色々買い物をして、成人式の準備だと言うとマークさんはテンガロンハットをプレゼントしてくれた。革製のかなり格好いいデザインだ、気前が良い人だ。
「ありがとうございます」
これもナバホの職人製だった、本当にしっかりした実用的な物のようだ。
「必ずまたおいで」
店の出口でマークさんが手を振ってお別れだ。
本当にきっと近い内に訪ねて来よう、あの暖かい絵が又見たい。
「アレックス、ついでに観光するか?行きたい所とかないのか?」
荷物は駅のロッカーに預ければ良いからな。
「東京タワーというものに登ってみたいかな」
「スカイツリーじゃなくて?」
「タクミが日本という国に連れて行かれたと聞いて、幼い自分なりに色々調べた。その中でも小学生の頃に本で見た東京タワーが特に印象に残っているんだ。夜の闇の中にオレンジに光る巨大なタワーがな」
それで東京タワーか。
「考えてみれば自分は日本というものに家族の誰よりも詳しかったんだ。タクミの情報を得る為だった筈なのに、いつの間にか様々な『日本』が俺の中にあったのは皮肉なもんだよ」
それで武道にも興味を持ったという事か。これもまた、結果オーライなのだろうか。
「よし、じゃあ行こうか東京タワー」
もう少しこの兄弟で東京を遊んで行こう。
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