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そして駅に着いたらなんと改札口の向こうに父ちゃんの姿が。俺達の出迎えは父ちゃんだった。
背広姿のところを見ると、仕事の帰りか帰ってすぐ家を出て来たのか。
「すごい荷物だな」
両手に大荷物の俺達を見て父ちゃんが笑う。
駅の駐車場に停めた車のトランクを開けて、父ちゃんが買い物荷物を入れてくれる。
「ありがとう父ちゃん、仕事の帰り?」
「ああ、この電車で帰ると母ちゃんに聞いたからな」
さっきしておいたメールか。母ちゃん、時間的に丁度いいからって父ちゃんに丸投げしたな。
「楽しんで来れたか?」
運転席に乗り込んだ父ちゃんが聞いてくる。俺とアレックスは後部座席だ。助手席はいつも父ちゃんの重いカバンがドンと置かれている。
「うん、バッチリだ」
いい出逢いもあったからね。
「アレックスはどうだった?」
「はい、とても楽しかったです」
「そうか、それは良かった。今日はちょっと賑やかになるが気を使う連中じゃないからな、楽しんでくれると良いが」
「大丈夫です、ナバホにも何かあると親戚や友人が集まって祝ったり食事を楽しむ文化があります。クリスマスや誕生日など賑やかなものですよ」
そう言えば俺は法的には昨日が誕生日だったな。家族といる頃は誕生日はいつも12月10日に祝ってもらっていたから、うちの兄弟はきっと俺の戸籍上の誕生日を知らんと思う。
そうか俺、昨日でやっと二十歳だったんだ。
「タクミの誕生日はいつも俺の家でも祝っていたぞ、12月10日は家族でタクミとエルス叔父さんの思い出を語る日だった。今年は俺は日本にいたけど、きっと家では親父達が祝っている」
ああ、本当に。そんなことを聞くと余計に会いたくなる、エルス父さんの家族に。
「あのな、ちょうど三人だから言うが実はしばらく前にうちにフランスから荷物が届いていてな」
フランスって…例のあの人からか?
思わずアレックスを見るが、そうか、アレックスはその辺りの事情は知らなかったか。
「荷物は二つ、その内一つが絵画でそれは拓海が二十歳になったら拓海に渡してくれと言っていた物だ。アレックスがいるなら丁度いい、それを開けてもらえ。物が絵だと分かっていたから俺が適当に開けても怖いと思ってな」
絵…それって、もしかして。
いや、まさか。
「タクミ、どういうことだ?フランス?」
訝しがるアレックス。さて、どう言おうか。
この兄貴もうちの昂輝同様に過保護らしいから。荷物の主が例のあの人だと分かると、居所を突き止めてなんかやらかしそうな気がする。
「タクミ?なんでフランス?」
え〜と。
ひどいな、父ちゃんも俺に丸投げだわ、これ。
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